「ワークマン」DXの要は社員教育?Excel経営からさらにその先へ
近年、ワークマンがDX(デジタルトランスフォーメーション)分野で注目を集めています。
その成功の要因として、社員教育とExcel経営が挙げられます。
本記事では、ワークマンのExcel経営の実態と、そこから発展したDX戦略について詳しく解説します。
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目次[非表示]
- 1.Excel経営とはデータに基づく再現性の高い経営
- 2.経営にExcelを導入する理由
- 2.1.普及率が高い
- 2.2.カスタマイズ性が高い
- 2.3.従業員に分析能力がつく
- 3.Excel経営が成功したポイント
- 3.1.経営陣がExcelの重要性を理解した
- 3.2.Excel研修を全社規模で行った
- 3.3.データ重視を企業全体で打ち出した
- 4.Excel経営からAI活用へ
- 5.Excel経営へのステップ
- 6.まとめ
Excel経営とはデータに基づく再現性の高い経営
Excel経営とは、社員全員がMicrosoft Excelを用いてデータ分析・活用を行う、ボトムアップ式の経営手法です。
この手法の特徴は、従業員個人がデータに基づいた定量的判断を行い、その積み重ねが再現性のある経営戦略につながることです。
ワークマンでは2012年からこの手法を導入し、大きな成果を上げています。
特筆すべきは、2018年にスタートした新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の展開でも、
Excel経営が重要な役割を果たしたことです。
また、「しない経営」(残業しない、ノルマを課さない、期限を設けない)との2本柱で、ワークマンの躍進を支えています。
このように、データに基づく再現性の高い経営手法が、ワークマンの成功を支える重要な要素となっているのです。
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経営にExcelを導入する理由
DXを推進する上で、なぜExcelが選ばれたのでしょうか。
その理由は主に3点あります。
普及率が高い
Excelは多くの企業で既に導入されており、従業員にとって馴染み深いツールです。
そのため、新規導入コストが抑えられ、従業員の心理的ハードルも低くなります。
これにより、短期間での全社的な展開が可能となります。
ワークマンの場合も、この高い普及率を活かして、スムーズにExcel経営を導入することができました。
カスタマイズ性が高い
Excelの特徴として、高いカスタマイズ性が挙げられます。
用途に応じた独自ツールの作成が可能であり、有用性が認められたツールは社内システムに組み込むことができます。
また、個々の社員のニーズに合わせたExcel教育の実施も可能です。
ワークマンではこの特性を活かし、現場のニーズに即したツール開発や教育プログラムの策定を行っています。
従業員に分析能力がつく
Excel経営の導入により、従業員のデータ分析スキルが向上します。
関数を使ったツール作成を通じて、データ分析の習慣と経験が身につきます。
ワークマンでは、この草の根的なデータ分析と活用が、WORKMAN Plusの店舗拡大に大きく貢献しました。
社員の能力底上げが、ワークマンの業績向上と事業拡大につながっているのです。
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Excel経営が成功したポイント
ワークマンのExcel経営成功の背景には、いくつかの重要な要因があります。
経営陣がExcelの重要性を理解した
ワークマンの成功の鍵となったのは、経営陣自身がExcelの重要性を深く理解していたことです。
当時の常務取締役、土屋哲雄氏が自らExcel経営の導入を推進し、データ活用力を幹部抜擢の条件に設定しました。
この経営陣の積極的な姿勢が、全社的な取り組みを促進し、Excel経営の成功につながりました。
Excel研修を全社規模で行った
ワークマンでは、月1回、計6回の丸1日かけたExcel研修を実施しました。
この研修により、全社員が関数、ピボットテーブル、マクロを使えるようになりました。
さらに、全社員の35%が現場に合わせた分析ツールをExcelで作成可能になるまで教育を行いました。
この徹底した研修が、Excel経営の基盤を強固なものにしたのです。
データ重視を企業全体で打ち出した
ワークマンは、データ重視の文化を企業全体に浸透させることに成功しました。
成功例だけでなく失敗例も共有し、学習機会を最大化しました。
また、データ活用に関する社長表彰のハードルを低く設定し、社員のモチベーション向上を図りました。
一方で、Excelの習得テストの難易度を適切に調整し、従業員の負担を軽減するなど、バランスの取れたアプローチを採用しています。
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Excel経営からAI活用へ
ワークマンは現在、Excel経営を基盤としつつ、さらなる業務効率向上のためにAI技術を導入しています。
AIによる需要予測ツールの導入を進め、予測業務の標準化と属人化の排除を目指しています。
この取り組みは、Excel教育で培ったデータ活用スキルが土台となっています。
つまり、Excel経営で築いた基盤が、より高度なDX戦略への移行を可能にしているのです。
Excel経営へのステップ
Excel経営を実現するには、2つの条件を満たす必要があります。
- 全社員がデータを活用していること
- データを根拠とした定量判断が行われていること
下の図では、縦軸「データ活用人数」、横軸「意思決定の基準」として、
企業におけるExcel活用の状態を4つの段階に分類しています。
DXレベル |
名称 |
状態 |
レベル1 |
神頼み |
データ活用が行われておらず、経験と勘に頼った経営判断が下されるため、変化への対応力と成功の再現性に乏しい。 |
レベル2 |
意思決定が遅い |
データ収集は行われるが、意思決定に影響を与える深いレベルでの分析はできず、時間をかけた結果ありきたりな結論にしか到達しない。 |
レベル3 |
幹部任せの |
データ活用に長けているのが一部の専門人材のみであるため、意思決定のブラックボックス化や、現場で活用できない机上の空論的な分析が行われる危険がある。 |
レベル4 |
再現性の高い |
データ活用が文化として根付いており、数字に基づく合理的決定が現場を含め社内の各所で、実務に変化を与える深いレベルで行われているため、市場の変化にアジャイルに対応できている。 |
自社の現在の段階を正確に把握し、Excel経営実現に向けた課題を特定することが重要です。
ワークマンの成功事例を参考に、自社に適したアプローチを検討することで、効果的なDX戦略を構築することができるでしょう。
まとめ
ワークマンのDX戦略における社員教育とExcel経営の重要性について解説してきました。
Excel経営は、データに基づく再現性の高い経営手法であり、Excelの普及率の高さ、カスタマイズ性、分析能力向上効果が導入の主な理由となっています。その成功の鍵は、経営陣の深い理解、全社的な研修の実施、そしてデータ重視の文化の醸成にあります。
ワークマンの事例から学べることは、DX戦略の成功には段階的なアプローチが有効だということです。まずは身近なツールであるExcelを活用し、全社的なデータ活用の文化を醸成することから始め、そこから徐々にAI活用などの高度な技術へと移行していくことで、持続可能なDX戦略を構築することができます。
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