
【導入事例紹介】三菱商事株式会社様|ユースフル ビジネス
三菱商事株式会社は、エネルギー・金属・社会インフラ・化学品・食品産業など幅広い分野でグローバルに事業を展開する総合商社です。国内の総合商社の中でも、主にエネルギー産業との取引や資源開発に強みを持ち、近年は脱炭素といった社会課題の解決を通じた価値創出や、AIによる企業変革にも注力しています。
2025年度来、エネルギー&パワーソリューショングループ(当時:電力ソリューショングループ)では、Copilot・Microsoft365の活用推進に向けて、ユースフル ビジネスをご導入。プロジェクトの陣頭指揮をとられた松阪様と染谷様に、グループとして目指すAI活用のビジョン、ユースフルとの取り組みの手応え、そして今後の展望までを伺いました。
YouTubeメディア「ユースフル/実務変革のプロ」を運営するユースフル株式会社では、 組織やチームのITリテラシーを底上げする学習動画コンテンツの提供や個社研修を承っています。また、 企業の経営改善やDX推進に直結するBPOコンサルティングサービスについても、現在非常に多くの法人クライアント様からお引き合いをいただいております。
講師やコンサルタントの数にも限りがありますので、まずはお気軽に 無料相談フォームよりお問い合わせください。
ご出演いただいた皆さまについて
ITソリューションユニットの皆さま(取材当時)
Q.今回のプロジェクトで目指されたビジョン
目指しているのは、「グループ全員がAIを当たり前に使える商社パーソンになること」です。
商社の人間は、ITがわからなくても、それぞれの業界で相対するお客様と硬軟織り交ぜた会話を楽しみ、協働でビジネスを作り上げ、維持ができれば良いと考えがちな面が少なからずあります。しかし一方で、商社には「時代の流れを先読みし、風が吹くまでに帆を張り、風が吹いた時にそれを乗りこなす」ことでビジネスを作ってきた側面もあります。
そうした意味では、AIは一過性の風ではなく、南風のようにずっと吹き続ける風です。 これを乗りこなすことは、私たち三菱商事や総合商社にとって、必須の素養だと考えています。一人ひとりが、硬軟織り交ぜた会話を楽しめるのと同様に、AIを使える状態であるべきだと思っています。
Q.AI活用における、ITソリューションユニットの役割
私たちの役割は、経営の大きな方針と現場の実務の間にある「段差」を埋めることです。
全社的な動きとしては、2025年にAIソリューションタスクフォースが設立され、2026年4月にはタスクフォースとAI・IT戦略部とが融合したAI戦略担当組織が設立されます。人事施策としては、資格取得の推奨やCopilot研修の実施、AIを組み込んだビジネス提案の推奨などが、展開されているほか、シリコンバレーや「AIソリューションタスクフォースAI CoE」(CoE:Center of Excellence)等からAIファーストな最新ビジネス状況も伝わってきています。
ただ、 ややもすると営業グループの中でも日々のオペレーションを回す現場では、経営陣や全社が目指すデータとAIをフル活用した仕事という大きな流れと、自分たちの足元の業務との間にギャップが生まれがちです。どう、そこに行けばよいのか、階段が数段、空いてしまっているような状態です。その間(段差)を埋めるのが、私たちグループのIT組織の役割だと思っています。
インタビュー風景
皆様が楽しくお話をお聞かせくださり、終始アットホームな取材現場となりました!
「なぜあなたの業務にAIが必要なのか(Why)」「どんなツールを使えばいいのか(What)」「どのように設定して、どう活用し、どう成果を出すのか(How)」。この、 今まで埋められていなかった3段、4段のステップを埋める講座を用意することで、全員が当たり前のようにAIを使いこなせる商社パーソンになれると考えています。
事務局として、受講者として、単に講師のデモンストレーションを見ているだけでなく、自ら参加するハンズオン型の学習体験を通じて、民主的にAIを使いこなせるステップを用意したい。それを実現できるパートナーと共に、教育を進めていきたいと考えていました。
AX/DX推進で意識されていることについて
Q.AIの活用が、従来のITデジタル化と比べて異なる点
AIは「インターネット」や「基幹システム」などではなく、どちらかというと「LINE」に近い存在なのではないか、と考えています。
これまでのITデジタル、例えばPower BIや受発注システム、ネットワークなどの話が出た時、それを自分ごととして捉えている商社パーソンはあまり多くなかったと思います。一方で、M365やLINEのようなメッセンジャーアプリは、業務だけでなく個人の生活でも毎日使っており、非常に身近で話題にも上がります。
今回対象になるAIツール、 特にCopilotやGemini、ChatGPTなどは、基幹システムというよりはLINEと同じように、日頃から全員が使うものへと性質が変わっている。そこが大きな違いだと思っています。だからこそ、たまに触るだけではなく、使いこなすところまで持っていきたいですね。
Q.現場での活用促進と、ガバナンスの両立
私たちは現場のAI活用をどんどんと進めていく中、トップダウンでガバナンスを如何に効かせるかという点も意識しています。具体的にはAIを正しく安全に使うための「ガイドライン」や「ガードレール」の議論と実装を進めています。
AI活用は諸刃の剣で、背景が不明瞭なAIや、個人用アカウントなど十分なセキュリティが担保されないツールを活用すると情報漏洩の事故が発生したり、自社の情報資産がAIのモデル学習に使われてしまい競争優位性を失うなど、様々な影響があるため、正しく安全に使うためのルール(ガイドライン)やシステム上の仕組(ガードレール)がとても大切です。
ガイドライン作りは現場と経営の双方向の取組で2025年1月に実現しました。2024年 某AI汎用モデル企業様の日本進出に合わせ、いかに自社のAI活用を進めていくかお聞きしようと、既に活用を進めていた自動車メーカー様の有識者の方などもお招きしてセミナーを開催しました。
その中で自動車メーカー様がAI活用を始める際、「自主的に現場が使うのは止めないが、この範囲で」というルールを先に提供したからこそ普及したという成功事例を聞き、それを自社に持ち帰りました。セミナーアンケートでも抽出された「ルールがないから、どの範囲で使ってよいか分からない」という現場の不安の声と共に、全社経営に直談判する機会があり、「AI活用ガイドラインを作ってほしい」と伝えさせて頂きました。全社としても同じ課題感があり準備していたので、タイムリーに整備されました。

結局のところ、 ガバナンスにおける全社方針と現場の意向は相反するものではなく、現場の声をいかに全社方針に分かりやすく伝えられるか、という双方向性が重要でした。上がルールを作っても、下が使っていなければ意味がないし、現場が新進気鋭のAIツールを使いたがっていても、組織の方針とあまりにも乖離していては、着地点が見出せません。
私たちITソリューションユニットは、現場の声と全社的なスタンダードのハブ的な役割を担います。トップダウンの指示も出しますし、逆に現場から上に掛け合い、AI活用に求められるチェックリストやテンプレートをこちらで用意して、スピーディーに環境を整える。
そういう相乗りの状態を作ることが、現場の活用促進と組織のガバナンス浸透を両立させるためには必要不可欠なのだと考えます。
「ユースフルビジネス」について
Q.教育支援のご感想 ― Copilot × Microsoft 365研修
受講者としても、発注者としても、「本当にやってよかった」と感じています。
従業員は業務負荷が高い中で研修を受けるのは大変なのですが、当日の録画を社内で後日視聴できるようにしたり、資料を部内に共有して活用させていただいたりと、方々で配慮をいただいたおかげで、社員それぞれのスタイルで学ぶことができました。
受講後アンケートレポートのサマリ抜粋(n=233)
何より象徴的なのは、 一般的なITスキル講座は小難しくて眠いのが当たり前な中で、Youtuber事業を基にするユースフルさんの講座は聞いていて面白いし、初心者でも「わかる」、そして「できる」という点です。
AIやM365はいつも使っているから、なんとなく知っている。だけど自己流だったから、網羅的には知らない。ちょっと分からないけど聞くのは恥ずかしいからそのままにしている。でもこの講座では5分に1回くらい聞けていなかった知識や操作が出てきて「そうだったんだ」という「アハ体験」を感じられる。だから一見簡単そうな講座でも飽きない。ここがユースフルさんの強みだと思います。
基礎AI・ITスキル研修風景

また試行錯誤する中、座学中心の研修よりも、実際に手を動かす「体で覚える」ハンズオン形式が多い研修の方が、満足度はもちろん、実務での活用実感まで深く根付く、ということが数字にはっきり表れました。特にAI関連のハンズオンは、それだけで満足度を押し上げる大きな要因になっていました。
また、今回の研修ではスキルアップを定量的に図るため、研修開始前の5月に社内で独自のアセスメントを行い、一人ひとりのスキルレベルを定量的に把握するところから始めました。施策は、目的に対してできるだけ定量化し、客観的・科学的に良かった・悪かった、続けるべきか閉じるべきか、判断をできるようにするため、あいまいにしないためです。
2月に同じ内容の研修後アセスメントを行い、M365やAIの活用レベル・頻度等の上昇を定量化しました。
2025年度電力ソリューショングループ 344名の成果レポート
研修ではできたけれど、ちょっと時間が経ってしまったら忘れてしまった、というユーザーには週に1回、コーヒーを片手に気軽に質問できる「カフェ形式」の場を用意することで、フォローアップもしておりました。
ユースフル様の研修はそのプロセス(満足度や有益と感じる具合)と結果(実際のスコアアップ)両面を客観的に説明できるため、満足しております。
Q.開発支援のご感想 ― AIエージェント構築
こちらも私たちの要望に合わせ、素敵な内容を組んでくださったと思っています。
ここまで述べてきた研修の中でAIエージェントをハンズオンで作ったユーザーが、徐々に自分の業務に特化したAIエージェントを自ら作る事例が出てきたため、下期は現場に合わせたAIエージェントをもっとたくさん作ろうと考えました。
ただし過去のシステム開発経験から、AIエージェントも作る過程をすべてシステム会社に任せた場合、ユーザーは自分でメンテナンスをできなくなり、いつか使われなくなってしまうと思いました。最初は大変でもユーザー自らが自分の業務を効率化するAIエージェントをつくる、その過程を伴走するのが私たちの使命と考えました。
そのため私たちは、まずその素養が高いITリテラシーの高いユーザーを選び出し、業務内容と改善イメージをヒアリングしながら、業務に合ったAIエージェントの作り方(レシピ)を作って渡し、最後はユーザー自らが設定するという伴走支援を考えました。
このプロセスはあくまでシステム開発ではなく研修であるとして、「AIエージェント構築ワークショップ」と名付けました。各部門にヒアリングをして、こんなエージェントが欲しいというユースケースを集めたところ、12個の面白い、かつ泥臭いアイデアや要望が集まりました。
実装ユーザーには「キックオフ」という形で2時間、レシピに共通するCopilot StudioとPower Automateの基礎研修を実施するところから始め「自動化」を体験頂きました。
AIエージェント構築ワークショップ風景
その後PCの設定マニュアルレベルで画面遷移まで書いた各業務に特化したAIエージェント設定のガイド(レシピ)を見ながら各自で設定してもらい、分からないところがあればハンズオンでフォローアップをしました。初期のガイドで前提としていた特定ツールが環境制約上使えないという壁にぶつかった時も、別のアクションを使えば目的を達成できる、という回避策まで提案しレシピを更新してくれました。
大事なのは、現場の業務を変えられるAIエージェントを「成果物」としてプレゼントするのではなく、「ナレッジやスキル」として定着させることです。商社の業務は、端から見れば部署ごとに違うことをしているように見えても、横串で見ると似たような仕事をしています。社内報告用のExcel作業なんて、方々で50個も60個も同じようなことをやっています。
特定の部署用につくったレシピも、その後「このレシピ、 こっちでも使えるかも」ということで他の部署に拡散・改版され、他の部署のAIエージェントのレシピになったりしており、レシピが社内を勝手にAI化するツールとして機能してくれるようになり始めています。この流れができると1回分のレシピ構築費に対して、生まれるAIエージェントはどんどん増えていくので、投資対効果は増していると感じています。
AIエージェント構築ワークショップ資料(抜粋)
「特定企業の決算情報を要約して社内に展開する」エージェントのワークフローイメージ
ただ、ユースフル様のレシピ開発は万能かというとそうではなく、納品されたレシピを使って作ってみたものの、私たちの社内セキュリティ環境だと動かないエージェントが出てくることもあります。その場合は、常駐している別のAIスタートアップの担当者が、実際にユーザーのところまで足を運んで、社内環境を見ながらレシピとエージェントをカスタマイズして対応してくれています。
ユースフルさんがレシピの骨格の設計を、もう一社が自社環境を考慮した実装対応を、という形で、両者の強みを組み合わせてもらえているのがありがたいですね。
今後のお取り組みについて
Q.今後の施策や展望について教えてください。
2026年4月には、グループ統合を伴う組織再編が予定されています。統合後のグループは、現在の電力ソリューショングループの2倍以上の従業員規模になるため、まずはこれまでの基礎AI・ITスキル研修を継続して、引き続きグループ全体のリテラシー向上に努めます。
さらに、AIエージェントの実践的な開発力を養う「応用AI・ITスキル研修」も並行して進めていきます。グループの実務に即したAIエージェントの「レシピ」開発と、それをチームに広げる育成型研修を組み合わせることで、これまで以上に現場発のDXを加速させることを目指しています。

Q.その中で、ユースフルに期待することはありますか?
「泥臭く、親身に対応いただけるパートナー」であり続けてほしいです。
ユースフルさんもスタートアップの段階から、少しずつ規模が大きくなっていくフェーズだと思います。多くのことに柔軟に対応いただけるため、付加価値を感じる瞬間がたくさんあります。ただ、企業規模が大きくなり、サービスの仕組み化が進んでいくと、どうしても距離感が変わってしまうこともありますよね。
ユースフルさんとは、今の「近い距離感」でお付き合いを続けたいですし、一緒に発展していきたいと考えています。 いつでも平場で話せる相手がいいですね。私たちも時には厳しいことを言ったり、無理な相談をしたりすることもありますが、お互いに腹を割って喋れる間柄でやっていければいいなと思っています。
編集後記(筆者コメント)
ご出演いただきました皆さまのおかげで、インタビューの場は終始アットホームな雰囲気で進んでいきました。 取材を通じて終始感じたのは、皆様の言葉の明快さと、そこに宿るユーモアでした。
「宴席で楽しくお話できるのと同様に、AIを使える状態であるべき」「AIは一過性の風ではなく、南風のようにずっと吹き続ける風」――商社ならではのメタファーを交えながら語られるビジョンは、聞いていて思わず引き込まれるものがありました。
なかでも印象的だったのは、社外の有識者を自らのグループに招いて話を聞き、そこで得た知見を持ち帰って経営に直談判したというエピソードです。現場の悩みやアイディアを上にどう伝えるか、というテーマを、まさにご自身の行動で体現されている姿に、強い説得力を感じました。
現場の声を丁寧に拾い上げながら、経営の大きな方針ともつなげていく。皆様の取り組みに、平場で話せるパートナーとして、ユースフルも全力で伴走してまいります。
- 本日は、貴重なお話をいただきありがとうございました!
※掲載内容は取材当時(2026年2月)のものです。
ユースフルでは、Microsoft365や生成AIの実務活用に長けたコンサルタントチームが、貴社の課題や状況にあわせて、最適なセミナーや研修をご提案しております。
「全社的なAI活用方針と、現場の実務とのギャップを埋めたい…」
「研修を『やって終わり』にせず、成果を定量的に示したい…」
「現場に刺さるAIエージェントを、着実に横展開していきたい…」
このようなお悩みを抱えられている推進ご担当者様は、実施可否が決定していなくても構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。





